1. HOME
  2. けいちゃん日記~小学校出張編〜

けいちゃん日記~小学校出張編〜

担任の先生が黒板に『5、6時間目 書道体験 筆づくり』と書いています。笑ったり、つつき合ったりしていた生徒の皆さんの視線が先生に一斉に集中します。
この度の出張は小学4年生の実習として学校に訪問させて頂きました。こちらの学校では「本物にふれる活動」として「日本の伝統文化に親しむ」ことを目的として毎年書道体験をしています。2年生では墨作り、3年生では紙漉き、4年生では筆作り、5年生では篆刻作りを本物の職人さんを全国から招いて体験します。
ありがたいことに筆づくりの授業として弊社にお声がけ頂き、当ブログでもおなじみの伝統工芸士候補の「あい氏」とその師匠である伝統工芸士の香川さんと3人で教壇の上に立ちご挨拶。

まずいろんな種類の筆を紹介します。みなさん馬、イタチ、山羊、タヌキ、ウサギ、ダチョウ、リス、竹などの筆を好奇に溢れた目で見ています。
「筆って本物の動物の毛でできているんですか!?」
「どうやって動物の毛をとるんですか?」
「この筆はいくらですか?1番高い筆はどれですか?」
「触ってもいいですか?」
男の子には重たくてでっかい筆。女の子には化粧筆が人気です。白鳥と金鶏の筆を魔法の杖のように持ちポーズを決めて記念撮影する子たち。
「優しく触って下さいね!」と先生。みんな前のめりで盛り上がり、筆を並べた机が傾きそうです(笑)

次に職人さんの香川さんが筆づくりの流れを説明し、実際に使用する道具を使って「寸切り」と「練り混ぜ」という『職人の技』を実演します。
「筆づくりは73もの工程があって大変な手間がかかっております。だから筆は大事に使って下さいね。」
すると一番前の席の男の子が手を挙げます。
「米づくりは88の工程がある!だから八十八と書いて米!」
「あなたよく知っとるねぇ。どこで聞いたん?」
「You Tubeで見た!!!」
皆、どっと笑います。

最後にいよいよ筆づくりの実践です。自分の名前が彫刻された筆の軸と原料が全員に手渡され、教室中がしんと静まり返ります。背筋をピンと伸ばし集中して世界で一つだけの筆を作っていきます。
皆さんほんとうに上手に完成させてほっと一安心したところでチャイムが鳴りました。
6年生になると卒業制作として各自、自分で作った墨、和紙、筆、印を使って自分の思いを込めた言葉を書き、額に入れて展示会をするそうです。
この度、打ち合わせや事前準備とご協力頂きました関係者の方に、ご挨拶とお礼をして学校をあとにしました。
もしかしたら、今日の生徒さんの中には将来、書道を志す子がいるかもしれない。筆に限らず伝統工芸の職人さんになる子がいるかもしれない。
日本の伝統文化やそれに関わる職人さんを次の世代に繋げるお手伝いをすること。これも私たち仿古堂の大切な活動のひとつなのです。

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

関連記事